東京都の電子入札について 2004_04 ( update2004.05.31 )


 1.はじめに

 東京都では工事関係については平成16年12月から、物品関係については17年秋から電子証明書を利用した入札・入札参加資格申請等の手続に変更される予定です。現在までのID・パスワードを利用した手続方法は使えなくなります。「電子申請」「電子入札」「CALS/EC」という言葉は耳慣れないから、わからないからでは済まされない時代になりました。しかし、難しいことはありません。ただ今までとは異なるやり方に準備して、どのような環境の変化にも対応していくことは必要になります。東京都の場合について簡単に説明いたします。

【東京都電子入札の動向】
工事 財務局

16年6月

土木案件導入

16年8月

建築及び設備案件導入
17年4月 全面実施へ
各 局 16年下期 順次試行
17年度中 本格導入へ
物品 財務局
各 局
16年10月 順次試行
17年度中 順次拡大へ
次回の競争入札参加資格審査は、電子証明書のみで受付される予定です。
ID・パスワードは使用できなくなります。

http://www.e-procurement.metro.tokyo.jp/index.jsp
 ※詳細については東京都のホームページでも確認できます。

 

 2.電子証明書とは?

 「電子証明書」とはインターネット上でのやりとりにおいて個人あるいは法人を保証・特定する身分証明書のようなものです。現実の世界では取引先と直接会ったり、取引先の会社登記簿謄本をとったりすることで取引相手の存在を確認しますが、インターネットを利用して商取引をする場合、相手が本当に実在するのかわからないことがあります。このような場合、「電子証明書」を利用して取引相手の存在を確認することになります。

難しいと構える必要ありません。申請時に自分の電子証明書という「鍵」がないと先に進めない。パソコンに「鍵」を挿して必要な内容を入力送信するだけです。

 3.電子証明書を持つには?

 電子証明書は様々な会社(認証局)から様々な種類のものが「販売」されています。しかし、東京都の入札・入札参加資格審査等に使用できるものは限られています。

東京都の電子入札で使用する電子証明書と、東京都以外の官公庁の電子入札に使用
される電子証明書とは異なります。仮に同じ認証局が発行していても対応する役所
に応じて、電子証明書もいくつかの種類があります。入札参加の希望官公庁が複数
の場合は、必ずこの点に注意してください。

 認証局

KeySignサービス」 日本電子認証株式会社

URL http://www.ninsho.co.jp/keysign/
KeySignサービスヘルプデスク
104-0045 東京都中央区築地五丁目5番12号
TEL 0120-714-240   FAX 03-5148-5695
E-mail keysign@ninsho.co.jp

TDB電子認証サービスSG」 株式会社帝国データバンク

URL http://www.tdb.co.jp/sg/
窓口株式会社帝国データバンク営業推進部eビジネス課
107-8680 東京都港区南青山2-5-20
TEL 03-5775-2919   FAX 03-5775-3128
E-mail sginfo@mail.tdb.co.jp

「商業登記に基づく電子認証制度」については説明を省略します。
詳細は http://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/ 

平成16年3月現在の内容です。申込に際しては詳細を確認してください。

 上記の会社が電子証明書を発行しますので、いずれかの会社に電子証明書の申込を行ってください。両社の電子証明書を取得する必要ありません。いずれか一社の電子証明書で十分です。また電子証明書を発行する会社によって入札に有利になるとか評価があがるということはございません。あくまでも電子証明書は身分証明書のようなもので個人・法人を特定して悪意の第三者の「なりすまし」を排除するものです。

  電子証明書の有効期間と料金

 

日本電子認証

帝国データバンク

有効
期間

1年、2年、3年

2年1ヶ月

料金
1枚

 9,000円(1年)
16,000円(2年)
21,000円(3年)

16,800円

平成16年3月現在の内容です。申込に際しては詳細を確認してください。
有効期間、料金以外のサービス・申込方法などについては直接認証局にお問い合わせください。

 

電子証明書を申し込んでから手元に届くまで2週間程度(場合によっては4週間程度)かかるといわれています。いざ必要になったときに慌てても仕方ありません。コンピュータ周りを整備しておくことも併せて必要になりますので、工事関係の入札参加を希望される方は平成16年10月中にはパソコン・周辺機器・電子証明書がそろっている状態にしておくことをお勧めいたします。(大型の一部の案件については既に「電子入札」が実施されています。案件によっては16年10月以前に「電子入札」が行われる場合もありますので該当される可能性のある方は早めの準備が必要です。)

 4.電子証明書以外で「電子入札」で必要になるものは?

 「電子入札」に限らず電子申請は基本的にインターネットを利用します。従ってパソコン・インターネット接続環境などをそろえることが前提になります。

  ハードウェア・ソフトウェア等の準備

パソコン

以下のOSをサポートするPC/AT互換機
Windows98、Windows98SE、WindowsNT4.0、
WindowsME、Windows2000、WindowsXP
CPU ペンティアムU266MHz以上
メモリ 128MB以上
ハードディスク空き容量 400MB以上
FDドライブ 3.5インチフロッピィーディスク
CD−ROMドライブ CD−ROM

プリンタ

A4用紙への印刷が可能なもの

インターネット接続環境

ダイアルアップでも良いが通信の安定性や通信速度を考慮するとADSLやFTTHなど常時接続環境を推奨

ソフトウェア

ブラウザ
インターネットエクスプローラー5.5以降
ネットスケープ7以降
Java Runtime Environment1.3.1_09
東京都電子調達システムクライアント※
「安全な通信を行うための証明書」サーバ証明書※

東京都電子調達システムクライアント」とは
電子入札で使用するソフトウェアです。販売価格235円
財団法人東京都弘済会用紙販売所 TEL03−5381−6335
〒163−8001新宿区西新宿2−8−1都民広場地下

「安全な通信を行うための証明書」とは
インターネットの接続・閲覧時に接続先が東京都であることを確認し、通信を暗号化するものです。 次のサイトを参照ください。
東京都総務局IT推進室 TEL03−5388−2507
http://www.taims.metro.tokyo.jp/soumu/LGPKI_joho_teikyou.nsf

概略的な説明です。必要になる環境の詳細は必ず東京都、認証局、その他プロバイダ等に確認してください。

 5.電子入札の準備、何からはじめれば?

 まずは「電子証明書」を取得しましょう。もしパソコンなどが整備されていない場合は、ハードウェア環境を整えることから始めましょう。数年前に比べればパソコンなども求めやすい値段のもので十分機能します(上記の必要になる環境を忘れずに!)。もしそれでも不安だったりお困りでしたら中村事務所にご相談ください。

 6.東京都以外の役所の入札はどうなるの?

 全体的な流れとしては「コストの抑制」「入札の適正化」という観点から電子化は避けられません。国土交通省発注案件については既に「電子入札」が実施されています。また中央官庁や市町村の一部でも既に「電子入札」が実施されています。多くのお客様は東京都以外にも入札参加を希望されていると思います。希望されている役所の動向に注意しつつ東京都同様に早めの準備をお勧めします。

残念なことに「電子証明書」をはじめ、電子申請をする環境は各役所のシステムによって異なります。従って別途その役所に対応した電子証明書その他を準備しなければなりません。有名なものとして国土交通省が公開している「コアシステム」というものを採用している役所は「コアシステム」に対応した電子証明書が必要になります。この「コアシステム」は東京都では採用されていません。例えば、東京都と関東地方整備局(国土交通省)に指名入札参加を申請している場合、東京都で使用する電子証明書と関東地方整備局で使用する電子証明書の2種類を用意する必要があります。このように各役所の対応を確認しなければどの電子証明書が必要になるのかわからないのが現状です。

 7.最後に

 電子入札を恐れることはありません。しかし準備を怠ると大きな損失を招くことも予想されます。まずは今から少しずつ慌てず準備することです。不明な点やお困りのことがあれば、何なりと中村事務所までご相談ください。入札希望先官公庁の電子化の対応状況、電子証明書、コンピュータに関すること、建設業許可、経営事項審査、入札参加資格審査、コリンズ、産業廃棄物処理業許可、会社設立、その他許認可等などお気軽にご相談ください。 

文章内に記載した内容は随時変更されることもあります。各役所の対応状況やハードウェア、ソフトウェア、電子証明書などは必ずご確認ください。


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